SMC-777 (4) DRI vs. MS

SMC-777はSMC-70の国内発売から1年をおかず発売された。回路図、ソフトウェアのかなりの部分を流用したとはいえ、構造、アプリケーションなどは全く異なるものなので、入社1,2年目の社員を中心とした短期決戦型のチームが結成され、厚木から品川のソニー本社(御殿山)付近の小さなオフィスに「隔離」された状態で開発は行われた。同時に進行していたMSXの開発は品川駅の反対側の「芝浦工場」(現在のソニー本社がある場所)のオーディオ関係の部門が担当していた。この後、この二つの部門は融合することになる。

 

SMC-70/777はゲリー・キルドール率いる Digital Reserch 社(DRI)の OS CP/Mや Dr.Logoを採用していて、開発チームと同社との関係が深かった。一方、MSXはビル・ゲイツ率いるMicrosoft (MS)の日本法人 アスキー・マイクロソフト(社長 西和彦)が基本アーキテクチャやOSを開発したものである。ソニーがこの二つの会社と提携していたことはその後の歴史をみると興味深い。

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Digital Research Inc 社長 ゲリー・キルドール (当時)

 

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Microsoft 社長 ビル・ゲイツ (当時)

 

 

この時期のDRIとMSはPCのOSをめぐって競争をしていた。8bit PCのOSは DRIの CP/Mが主流であったが、IBMが初代PCのOSに CP/M86ではなくMSのDOSを採用したことから、MSは16bit PCの主導権を握ることになった。DOSとCP/M86には類似点が多く、二社間にはある種の緊張が生じた。

 

1985年にMSがWindows1.0を発表するのと、同時期にDRIも同様のGUI “GEM”を発表する。Windows 1.0は画面をタイル状のWindowにしか分割できなかったが、 DRI GEMはその後のWindowsのようにWindowを重ねて表示することができ、すでに1984年に発売されていた Macintoshに画面は似ていた。 GEMはその後 ATARIの Game Console “ST500” (1985年)にOSとして採用される。

 

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Microsoft Windows 1.0 の画面

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Digital Research  G.E.M. の画面

 

 

MSのSteve Ballmerが Windows 1.0について熱く語る(絶叫する?)伝説的なテレビコマーシャル。

 

また、1988年、DRIは MS-DOSのクローンOS “DR-DOS”を発売し、拡張メモリー管理など技術的にはMS-DOSにない機能を一歩先んじて提供していた。これに対してMSはMS-DOSの機能強化をする一方、自社の Windows 3.11をDR DOSで動作しないようにするなど対策をしたといわれる。

DRDOS6(from eBay)

DR DOS 6.0 のパッケージ

 

このような競争は90年代前半まで続いた。その間に MSはWindows, Office などで大成功をおさめ、ビル・ゲイツは世界一の富豪となった。一方、DRIは会社は Novellに買収され、創業者のゲリー・キルドールは1994年に失意のうちに非業の死をとげている。なお DR-DOSはその後、所有者が Novell, Caldera, Lineo と転々とし、現在 DRDOS社から組み込み機器用OSとして販売されている。

 

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DRI 創業者 ゲリー・キルドール 追悼記事 

(San Jose Mercury News , 1994年7月31日)

 

 

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