幻のPBX

同時期の1986年、Videotexを扱っていた部門で、PBX (構内電話交換機)をソニー商品として提供しようという動きがあった。米国の CXCというメーカーの “ROSE” というデジタルPBXを導入して日本国内で企業向けに販売しようと考えたようである。

下記はこの提携についてCXC側が業界紙に発表した記事である。

CXC-PBX

CXCとソニーの提携を伝える業界紙 Network World , June 8, 1986 より




当時、通信自由化で、PBXについても、所謂電電ファミリー各社以外にも参入機会があると考えて、始めたのであろうか。電話機間で今で言うSMSのようなショートメッセージを交換する機能などがあったらしい。また、DDIが市外通話に参入していたので、それに対応してPBX側にLCR(電話料金の安い電話会社を自動的に選択するシステム。)を実装する計画もあったようである。

PBXは構内の電話網は各社独自のプロトコルであるが、NTTの交換網に接続する部分はNTTの信号方式(共通線信号方式)に合わせないといけない。この規格は一応 ITUで標準化されていたが、通信自由化直後のこの時点で米国メーカーのPBXをNTTに接続するのはかなり困難であったらしい。

CXC社は米国カリフォルニア州アーバインにあり、ソニーの厚木から技術移転、日本向け改造などのためにエンジニアのチームが長期出張していた。

結局、このプロジェクトは完了しないまま中止に至った。中止の理由はわからないが、顧客側にソニーからPBXを買う理由が見いだせない、というところが本質的な問題だったのではないかと推測する。後知恵だからなんでも言えるのではあるが、どうせ挑戦するのであったら、レガシーな回線交換機ではなくて、ルーターなどのパケット交換機のほうが良かったのでないかとは思う。元々が業務用ビデオや放送に近い部門であったので、情報は回線交換でないと品位が維持できない、という考えがあったのかも知れない。

CXC社の製品の写真が見つからなかったので、参考のために、今でもアメリカのオフィスでよく見る Northern Telecomの Meridian という PBX用の電話機の写真を下記に上げておく。日本でもアメリカでもオフィス用の電話機は’80年代から殆ど変化していないように見える。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

Meridian (Nortel) のオフィス用電話機 http://www.biocomp.net/o34537.htm より

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