NEWS(2) Σプロジェクト?

NEWSが開発中であった頃、通産省主導で「シグマプロジェクト」(ソフトウェア生産工業化システム)という大型国家プロジェクトが始まっていた。これは、当時米国で Unixを中心とした業界全体でのソフトウェア開発環境やOS,ライブラリなどを共通化する動きが始まっていたので、それを日本でも促進するプロジェクトのはずであった。狙いは良かったのかもしれないが、富士通、日電、東芝、日立などのメインフレーム各社が参加することにより、話はずれた方向に進んでいき、日本語化した Unix System V の独自バージョン(Σ OS)と、それを搭載したワークステーション (Σ ステーション)とソフトウェアを交換するためのメインフレームのサーバー(Σセンター)の開発に数百億円の国家予算が投じられた。現在、その成果は片鱗すら残っていない。検索すると当時の悪夢を振り返るような記事しかでてこない。大手メーカーや経済産業省は”Σプロジェクト”は黒歴史として封印しているようである。

 

(その後、類似の”第五世代コンピュータ計画” や “日の丸検索エンジンプロジェクト”が国家プロジェクトとして実行されたが、現在その成果は何も残っていない。2016年現在では IoT や Deep Learning , Big Data などが狙われているらしい。)
シグマプロジェクトの発端に SRAの岸田孝一氏(現在 同社最高技術顧問)が関係していたのだが、途中で妙なことになったので縁を切ったらしい。ソニーはこの頃 NEWS用に System Vではなく BSD 4.2の Unixの日本語化などをSRAに依頼していた。

下記の写真は情報処理学会の「コンピューター博物館」のサイトから無断借用したものであるが、なぜか ”Σ STATION” という文字がNWS-800のプロトタイプについている。恐らく、当時の何かの展示会かなにかの写真では無いかと思われるが、NEWSは 4.2BSD なのでΣとは無関係なはずである。当時、Σ準拠ではないUnixワークステーションを日本メーカー、しかも家電メーカーのソニーが作ることに業界内の圧力があり、それをごまかすために「名前だけ貼っとけけば良いのね」というような対応をソニーの誰かがしたのではないかと思う。

NWS-800(Sigma Station)

Σ STATION と書かれた NWS-800 NEWS 初代機 http://museum.ipsj.or.jp/computer/work/0005.html より

NEWSのOSは4.2BSD という大学・研究機関でよく使われていたオープンソース(と当時はいわなかったが)の Unixで、Bell研/AT&Tの正統 Unix の System Vを使っていなかった。 ここにNEWSの目指していたところが表れている。何か特定の仕事用にCADなどのアプリケーションと一緒にソリューションを提供するのではなく、ソフトウェアエンジニアが自分で好きなような開発をできる「材料」として提供した。「ソニーは「肉屋」に徹します。料理はお客さんが好きなようにしてください。」と当時の責任者の土井常務は語っていた。
NEWSはその低価格で、大学、研究機関などに広く売られた。「シグマ・プロジェクト」の意味不明な高価な Workstation が国内メーカー各社で開発されていたりして、まともなエンジニアのニーズにこたえるものは国産ではなかったのもソニーの参入機会となった。
NEWS発売当時の時代劇仕立てのプロモーションビデオ

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