NEWS (4) RISC NEWS

NEWSのCPUは1988年には 68020から32bit の68030 に変更された。 (NWS-1850, Clock 25MHz, 5.3 MIPS)  その後、1990年まで 68030を搭載したモデルは販売された。一方、1989年末の NWS-3860 が初めて MIPS Technologies 社の RISC CPU R3000を搭載した。 ( 20MHz, 17MIPS). 既存ユーザーの乗り換えなどを考慮して、RISCとCISCの両方のモデルを1年程度は併売していたのではないかと思う。 ちなみに同時期の1988年にソニーはVHSに参入しBetamaxから移行をはじめたが、それとは当然無関係である。

NWS-3870

MIPS R3000 搭載の NWS03870 http://www.geocities.jp/kazooou5/NEWS/ より

 

 

68000シリーズに変わる RISC CPUへの移行は、業界盟主のSunが SPARCへの移行をしていたので必然であったと思う。当時、候補だったのは、MIPSのR3000, AMDの29000, ZilogのZ80000、そして Motorolaの68040 (CISCのまま)であった。これらの中からどれを選ぶか、というのはかなり重要な戦略的判断であったが、当時のCPUボードの担当者がMIPSを選択し、それが決定事項となった。当時のNEWSの組織は権限委譲がよく出来ていた、というよりも、担当者より状況をよく理解した管理職がいなかったということだったと思う。

NEWSがMIPSを選択したことは、その後のソニーのほかの部分でのビジネスにも影響を及ぼしたらしい。MIPSは積極的にCPUのデザインを他社にライセンスしていたので、ソニーの半導体部門はMIPSとライセンス契約をし、ソニー製 MIPS CPUの開発をした。実際にNEWSには採用されていなかったと思うが、MIPS Coreはいくつかのソニー製品に最近まで搭載されていた。

代表的なのが PlayStation でPS1, PS2, PSPのチップの汎用プロセッサ部分はMIPS Coreである。(PS3はPowerPC, PS4は80×86を採用している。) また BRAVIAやBDレコーダーなどにも一時期、MIPS Coreを含んだ統合チップ(NEC EMMA)が使われていた。

そのような後の状況や、MIPS以外の候補のその後の行く末を見ると MIPSを選択したのは正しい選択であったと思う。

 

Unix Workstation の世界では Sunが SPARC CPUを推進し、富士通にチップ、製品ともにライセンスするなどしてシェアを広げた。

当時のハイエンドワークステーションの有力メーカーであった Appolo は PRISMという RISC (VLIW) CPUを開発して搭載したが、頓挫し、 HPのPA RISCというアーキテクチャーに継承された。その後、HPはIntel と組んで、IA-64というサーバー用RISC CPUのアーキテクチャを開発した。これが Itaniumという Intelのサーバー用CPUのアーキテクチャとなる。 Itaniumは2010年頃には殆ど使われなくなり、Intelはサーバー用 CPUとしては 80×86系のXeonシリーズに乗り換えている。 Xeonは現在もHPなど各社のサーバーで現在使われている。

HP Superdome X

HPの現行のハイエンドサーバー Superdome (Xeon 搭載) HP Home page より

 

 

一方、CISCの68000シリーズが行き詰ってきたMotorolaは、自社開発のRICS 88000 もうまくいかず、結局IBMと組んで、Macintsh用のRISC CPUを開発するという大胆な戦略転換をした。この “AIM連合”により開発されたのが Power PCである。

Power_Macintosh_6100-66

IBM-Motorola の Power PCを搭載した最初の Mac. Power Mac 6100 https://ja.wikipedia.org/wiki/Power_Macintosh より

 

 

MIPS社のCPUはGraphics Workstation 大手 Silicon Graphics Inc (SGI)に CPUとして採用され、1992年には SGIによりMIPS社は買収される。その後、SGIが CPUに Intel Itaniumを採用してしまったので(1998年)、MIPSの部門は再び独立会社となり再度上場する。その後、MIPS Coreのライセンス会社として運営されるが世の中が ARMを中心にしていくようになり、2012年に、保有する全特許を売却して会社は清算された。

 

MIPSを買収した SGIも1990年代には Indigoシリーズのワークステーションが好調であったが、二度の経営破綻ののち2009年にRachable Systemに買収された。ちなみに、1990年代にSGIの本社があった建物は現在、Googleの本社がある Googleplexの中心にある建物である。

 

SGI HQ

当時のSilicon Graphics 本社 (現在の Googleplex) http://www.zdnet.com/pictures/photos-silicon-valleys-office-jinx/ より

 

当時はIntel 80×86や Motorola 68000 などの CISCか、 MIPS, SPARC, Power PCなどのRISCのどちらが優れているか、ということは業界を二分するような論争であったが、その後 CISC側に Micro architecture が導入されたり、CPUに多段 命令 cache ,多段 Pipelineや Multicoreや Vector 命令セットなどが導入されるとInstruction set の差というのはあまり話題にならなくなった。

 

ちなみに現在(2016年)の時点では、PCやサーバーは Windowsも MacもLinuxも Intelの80×86の子孫の CORE processorかXeonなどのCISC CPUを採用していて、Smartphoneは iPhoneも Androidも ARM core (RISC CPU)を元にした各社の SoCで動作している。これが技術的必然なのか、さまざまなビジネス提携の結果なのかはわからない。
現在、スマホからデジタル家電、サーバーまでに広く使われている ARM CPUは元は1980年代にAcorn Computer という英国の企業が自社のパソコン用に開発したものであるが、1991年にApple Newtonが採用したのをきっかけにモバイル機器全般のCPU Coreとして幅広く採用され、現在はソニーを含むテレビやカメラなどのデジタル家電の専用チップにも幅広く採用されている。

 

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NEWS (4) RISC NEWS」への2件のフィードバック

  1. NEWSが68030に移行するときには「VAXべったりのBSDの仮想記憶を68030に対応させるのは困難」とか「5MIPSはカタログスペックで実際には遙かに低い性能しかでないだろう」とかいろいろ悪口を言われたが、実際に出てきた030対応NEWSは5MIPSをきっちりたたき出した。

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  2. ピンバック: General Magic MagicLink (13) その後の Magic, DataRover | Good Old Bits

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