NEWS (7) Vectron , FAA 用モニター

NEWSにはソニーの映像技術に関係した周辺機器も開発された。

“VECTRON” は大型の映像表示装置である。

VECTRON

VECTRON カタログ

 

下記のような仕様の静止画専用の大型モノクロ平面ディスプレイである。


表示サイズ       A1サイズ(841×594mm)

アドレッサブルポイント   13,456×9,504

描画速度                             11[m/s]

インタフェース                     IEEE-488 / RS-232C

質量                                  110kg

これは大型の図面などを表示するためのもので、通常のビットマップ・ラスタースキャンのブラウン管やLCDではなく、大型の表示デバイス(液晶の一種?)に背面からレーザー光をミラーで制御して線を直接描画していくことで一枚の図面を表示する、という原理のものである。一度描画した内容は全面消去しないと書き換えられない、という意味では現在の電子書籍ビューアーに使われているe Inkと性質は似ているが原理は全く異なる。

NEWSがEWSとしてCADなどでも利用されていたので、大型の図面をプリントアウトしないでチェックする、という用途を想定して開発されたと思われる。

現在では、CGはすべて、全画面を細かなPixelに分割して、その各Pixelに3D Modeling で計算した画素データを1フレームごとに書き込んで表示する、というラスタースキャン型の表示装置しか使われることはほとんどないが、1980年代以前は、全画面を高速で書き換えるだけの能力は高価なコンピューターしかなかったので、ベクタースキャンディスプレイというブラウン管の走査線を直接上下左右に計算どおりに動かしてアニメーションを表示するという方式が多く使われた。

CGの初期のデモなどはおもにこの方式を使っている。

これは1963年のMITの Ivan Sutherlandによる歴史的なComputer Graphicsのデモ (Sketch Pad)の様子である。当然、ベクトルスキャンの装置が使われている。



また、映画「スターウォーズ」が最初に公開された頃に、映画とタイアップした ATARI社のゲームセンター用の大型の「スターウォーズ」ゲームもこのベクタースキャン方式である。当時としては画期的な3D ワイヤーフレーム がリアルタイムで動くというもので人気があり、私もよく遊んだ。


 

そういえば、私が初めてプログラムしたビデオゲームも大学の大型機 FACOM 230/45Sにつながったモノクロベクターディスプレイを使った月面着陸ゲームだったことを思い出した。 FORTRANでパンチカードで書いたものだった。

FACOM-230-45S

富士通の大型機 FACOM 230/45S (ベクトルディスプレイはこの写真にはない) http://museum.ipsj.or.jp/computer/main/0017.html より


 

このVECTRONの他に、当時、ソニーが業務用に開発した 2Kx2Kの正方形カラーモニターのデモ用のホストとしても NEWSは使われていた。これは、当時まだアナログのベクタースキャンモニターが使われていた航空管制室のレーダーモニターをデジタルのカラーモニターで置き換えるためのものでああった。いまでは2K, 4K などの解像度の液晶テレビは普通にあるが、当時はまだブラウン管の時代で、HD (1024×768)が実用化されたばかりだったので、業務用でも2Kx2K というのは最先端だったと思う。

1989年にソニーはトリニトロン管を使った平面ディスプレイで20inch /2Kx2K pixelのカラーモニターを開発してFAA (米国連邦航空管制局)のシステムに採用された。 これのデモ用のホストに NEWSが使われていたと思われる。実際のシステムは別の米国企業が受注して、ソニーはモニターのみを提供したと推測する。

(下記の1999年のプレスリリースの中に1989年のFAA用モニターのことが言及されている)
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press_Archive/199905/99-045/

(追記: 当時の展示会でのデモの模様。このデモのために特別なグラフィックスボードが試作されNWS-1960というに接続してデモ画像を表示していた。

また、この2Kx2K モニターは、ビル・ゲイツが自宅の壁に絵画のデジタルコレクションを表示するために購入したそうである。彼は、自宅のデジタル・ディスプレイに様々な機器を導入していているらしく、パナソニックの大型プラズマディスプレイなども使われていたらしい。現在はどのような機器が使われているのか興味深い。大型のOLEDパネルであろうか?)

2K2K-1989-NWS-1960-SF-Mr.Imai(trim)

1989年にサンフランシスコの展示会でNEWSにつないでデモされた2Kx2Kのモニター

この航空管制システム用の2K x 2K 正方形モニターというのフォーマットは現在も使われているらしく、現在でもEIZOがこのフォーマットの製品を発売している。ソニーのカタログにはないので、現在、ソニーはこの種類の製品を出していないようである。

EIZO-2k2k

現代のEIZOの 2048×2048 28inch 航空管制用モニター SQ2802 http://www.eizo.co.jp/products/atc/sq2802/index.html より

 

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