CD-ROM (2) Microsoft, CD-ROM XA

音楽用のCD (CD Digital Audio,CD-DA) の規格はソニーとPhilipsが策定・管理して、各社にライセンスしていた。通常の音楽用の規格は通称 “Red Book”と呼ばれる仕様書に記されている。 Red Bookは1980年に初版が策定されている。

CDDAlogo.svg

CD-DAのフォーマット ロゴ (現在でもよく見るロゴ)

 

このCD-DAの技術をほぼそのまま利用して、コンピューター用のデータ記録媒体として使うシステムがCD-ROMである。このCD-ROMの規格書は “Yellow Book” と呼ばれ、初版が1984年に策定された。 CD-DAとの大きな違いはエラー訂正システムを一段追加して、読み取りエラー率を大幅に減らしたこと,ランダムアクセスが可能なようにセクターごとにアドレスが付加されたことである。この Yellow Bookの内容はその後 ISO規格となっている。

Logo_CD_ROM

CD-ROMのロゴ(?) (こちらはあまりみない。)

 

この CD-ROMの規格が策定されたことにより、ソニー、Philipsなどの家電メーカー以外に、米国のPC/IT関係の企業も様々な形で CD-ROMのシステムや製品の開発に参入してくる。とくに、注目されたのは映像、音声をCD-ROMに記録して再生するシステムである。このころから “Multi Media”という言葉が使われるようになり、CD-ROMはその中心的な存在となった。

 

家電メーカー側は特にPhilipsが”CD-I”という構想を強くプッシュした。これは、CDに記録する音声、映像のフォーマットを決めるだけではなく、再生機器の上で動作するOSやユーザーインターフェースの仕様も策定して、専用のプレイヤーのみでマルチメディアのタイトルを楽しめるようにする、というものであった。イメージとしては後のCD-ROMを媒体にした Play Station のようなゲーム機や、現在のBD Playerのディスク上のメニュープログラムのようなものである。

 

ただ、そのためには策定し開発しなければいけない要素が膨大にあり、Philips主導の開発はなかなか進まなかった。一方、Microsoft, Apple, Intel などは、 PCの周辺機器として CD-ROMを活用しようとしていて、CD-ROMにはデータ、音声、映像などを記録する媒体としての機能しか求めていなかった。

 

ソニーは、芝浦にあったビデオの事業本部で Philipsと組んだ CD-Iの開発を行い、本社やANビルにいた PC系の部門が、Microsoft, Intel, Appleなどと組んだ PC baseの CD-ROMのシステムの開発を当時おこなっていた。

 

この中で、CD-ROMのフォーマットに CD-ROM XA (eXtended Architecture)という方式が追加された。これは、CD-ROMのデータフォーマットの一部にデジタルオーディオのデータを埋め込み(Interleave),データを読み込んでいる最中にオーディオを再生できる、という方式である。

 

CD-DAではオーディオは16bit PCM 非圧縮で記録されているが CD-ROM XAではADPCMという技術で、オーディオデータを圧縮して、ディスク全体のオーディオ再生時間は CD-DAと同じでありながら、さらにデータを記録することができた。 この CD-ROM XAは元々 CD-Iの規格に同様な機能があったが、CD-I全体を使いたくなかった、MicrosoftなどPC産業側のニーズに合わせて主にソニーが中心になって策定したものである。利用されている ADPCMのアルゴリズムなどはソニーの研究所のスペシャリストが開発した。 CD-ROM XAはCD-ROMの規格書 Yellow Book に1988年に追加された。

 

PC業界側では、 MicrosoftはPCでのCD-ROM対応を重視して毎年 “Microsoft CD-ROM Conference”と呼ばれるイベントをシアトルで開催した。(1986 年 -)  (このイベントは後年 “Multimedia Developer’s Conference”と名称が変わった。) また、CD-ROM上のファイルシステムの標準化を推進し通称 “High Sierra Format” とよばれる方式をソニーなど各社と共同で1986年に策定した。このフォーマットはのちにISO9660規格となり現在でもつかわれている。

CDConf1986

最初のMicrosoft CD-ROM Conference を伝える記事 (PC Magazine 1986, April 29th)

 

この1984年から1986年の比較的短い期間に、ソニー、Microsoft、Philipsなどが、Yellow Book および HIgh Sierra Format という、組み合わせで、PC用のCD-ROMの物理フォーマットおよびファイルシステムを特定のOSなどに依存しない形で標準化したことは、その後のCD-ROMの幅広い応用を可能にした。これにより、同一のCD-ROMを現在でもWindows, Mac, Linux など複数のOSで自由に読み込むことができる。

 

DOSおよびWindows PCへの対応は Microsoftが MSCDEX (Microsoft CD ROM Extension)と呼ばれる High Sierra Formatの CD-ROMを DOSファイルとしてよみとるためのドライバを提供することで実現した。 (1986年?) この MSCDEXは Windowsが Windows 2000で DOSへの依存性をなくすまで使われていた模様である。

 

 

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