CD-ROM(4) Data Discman

ソニー社内では複数の部門がCD-ROMを利用した製品を開発していた。CDの本家、オーディオ部門では、8 cmのCD-ROMを使った 電子出版リーダー “DataDiscman” DD-1が開発され1990年に発売された。電子出版といっても実質的には辞書・百科事典などが中心であった。 CDは「電子ブック」と呼ばれディスクは専用のケース(キャディー)にいれたままドライブに入れる方式で、現代のBD Discのようなパッケージにいれて辞書などが販売された。 Data Discmanは辞書なので、電気店以外の書店や文具店でも販売された。 ディスクの方式などは「電子ブックコミッティ」というソニー、松下、出版社などのコンソーシアムで管理されたが、ソニーが主導していた。リーダーはソニー以外に松下、三洋などが参入した。辞書のCD-ROMは三省堂などが出版した。

dd1

初代 Data Discman DD-1 (1990) とその辞書 CD-ROM (8cm キャディ入り) http://cdecas.free.fr/computers/pocket/dd1.php  より

この CD-ROMのディスクをキャディと呼ばれるカートリッジ型のケースにいれるかどうかは、当時社内で議論を呼んだ。CDについて、個人的に思いの強い当時の大賀社長は、データ用と音楽用を区別するために、絶対キャディー入りにするべき、という強い主張をした。これは、読み取りエラーを防ぐ実質的な意味と、見た目を変えることで、音楽CDより高い価格をつけられる可能性の両方を狙っていたのではないかと思う。

800px-EBCaddy

電子ブック CDのキャディー (CDは簡単にとりだせる)

このため DataDiscman も AppleにOEM提供された CD-ROM Driveもキャディーに入ったディスクを使うタイプであった。エンジニアの間では、単にドライブの機構を複雑にするだけで評判が悪かった。「抵抗」の表れとして、CD-ROMのキャディはすべて、簡単に中のCDを取り出せるようになっている。PC用のCD-ROMは普及期にはすべてキャディなしのドライブとなった。

Data Discmanは出版社とのタイアップがうまくいったのでビジネスとして,2000年まで10年も継続した。初期には書店でソニーのプレイヤーと出版社ブランドの辞書CDが販売される、という出版社や書店にとっても利益のあるビジネスであった。電子ブックのフォーマットには CD-ROM XAのADPCM音声も追加され「しゃべる辞書」も途中から可能になった。最後のDD-S35(2000年)の頃は、パッケージに必要な辞書類(広辞苑、英和・和英中辞典)が全部はいった2枚のディスクが同梱されていたようである。同時に価格の安いIC方式の電子辞書もソニーから発売されている。電子辞書の主流がIC方式になると、ソニーは市場から消えていった。出版社は電子辞書を家電メーカーにライセンス供与で利益を得ている。最近では、中高生から電子辞書しか使わない、という世代になり、紙の辞書を編集する出版社のビジネスは厳しくなっているのではないだろうか?

DD-S35

左が最後のData Discman DD-S35 (2000年), 右にあるのは同時発売のIC方式電子辞書 https://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200004/00-0419/ より

 

DataDiscmanは国内市場のみの製品であったが、ドライブ、メディア以外のソニーの CD-ROM製品としては PlayStation に次ぐ成功であった。

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CD-ROM(4) Data Discman」への1件のフィードバック

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