CD-ROM (7) DVI, MPEG and Video CD

ここで紹介したきたように, 1990年前後には、各社からCD-ROMの製品が発売されていた。一方、開発レベルでは CD-ROMから動画を再生する、ということが大きなテーマとなっていた。

 
端緒は、1987年に RCA (David Sarnoff研究所)が “DVI” (Digital Video Interactiveと呼ばれる CDに圧縮デジタルビデオを記録再生する方式を Microsoft CDROM Conference で発表した事である。解像度は低くかったが(320×240)、とにかく CD-ROMからアニメーションではなく、カメラで撮影された動画が再生されたのである。

RCA-DVI-Demo

RCAのDVIデモ機 (1987) IBM-PC/ATの上に実装されている。 http://www.manifest-tech.com/dvi/dvi_photos.htm より

 

 

このデモは業界に大きな衝撃を与えた。当時、デジタルビデオは業務用システムにしか存在していなかったので、家電メディアであるCDに動画が記録できる可能性が示されたことに関係者は驚いた。当時、私はアナログのレーザーディスク上のビデオをPCで操作するという VIEW systemを担当していて、次世代は全部CDになる、ということを感じた。

この”DVI”と呼ばれたシステムを開発した RCA David Sarnoff 研究所 というのは由緒正しい研究所で、白黒テレビ放送、カラーテレビ放送などを開発した David Sarnoffを創業者とするRCAの研究所である。 CCD, CMOS, Video Discなどの技術を開発した研究所である。現在のエレクトロニクス産業のかなりの部分はこの研究所にルーツがあると思われる。

sarnoff-time51-cover

1951年のTimeの表紙になった RCAのDavis Sarrnoff

 

ただ、親会社のRCAは、1980年代後半には、あまり経営が順調ではなく、このDVIはRCA Sarnoff研究所としてはほぼ最後の大きな成果であったと思う。 DVIが1987年に発表される前年の1986年にRCAはGEに買収されている。そして、Sarnoff 研究所は GEにより SRI (Stanford Reseach Institute)に1987年のDVI発表の直後に売却されている。さらに、SRIはDVIの技術一式をIntelに1988年に売却している。こうして、CD-ROMに動画を記録する技術はIntelのものとなった。

DVIについての情報はここを参照されたい。

http://www.manifest-tech.com/dvi/index.html

 
動画圧縮にはDCT(離散コサイン変換)によるフレーム内画像帯域圧縮、動き予想・補完アルゴリズムによるフレーム間情報圧縮などのアルゴリズムが知られていて、それをどう組み合わせ、優れたアルゴリズムを生み出すか、が開発の焦点であった。

当初は、素材となるデジタル化された非圧縮の動画ファイルをVAX11などの高性能ミニコンでソフトウェアですべて圧縮の計算処理をする、という方法が使われたが、次第に専用のチップなどが開発されていった。再生側も、当初のDVIのデモはDOS PCで再生処理をしていたらしいが、これも再生用のチップが開発された。

GE/RCAによるDVIの発表に続いて、MPEG (Motion Pictures Expert Group)という標準化団体が1988年に結成され、CD-ROMをターゲットとした動画フォーマットの標準化活動が始まった。これはDVIのフォーマットがそのままDe Facto Standardになっていしまうことを嫌った各社の活動であったと思う。 MPEGによる標準化はDraftが1990年に出版され、1992年に最終版が確定した。これが現在 MPEG1と通常呼ばれている動画圧縮規格である。また、このMPEG1には同時に記録する音声の圧縮記録方式も含まれていて、これが後に “MP3” (MPEG1 Audio Layer III)として、音楽産業に大きなインパクトを与えることになる。

ソニーではこのDVIの発表を見て CD-Iから PC Baseの Multimedia CD ROMに開発の重点を変更する。スーパーマイクロ事業本部が開発を担当し、1988年のMicrosoft CD-ROM Conferenceでは土井本部長自ら登壇し、今後はMPEGでCD-ROMに記録する、という方針を表明し、DVIの動きを牽制した。翌年 1989年の同 Conferenceでは、Real Time MPEG Encoderのデモ機を持ち込み、ステージ上で空手を披露する土井本部長の動画を即座にEncode/Decodeしてみせた。

CD-Iを推進していた PhilipsはCD-IにMPEG デコーダーカートリッジを追加して動画再生を可能にした。(1993年?) これをCD-I FMV (Full Motion Video)と呼び対応するタイトルが発売された。 レーザーディスクからの移植版である “Drangon’s Lair”などでである。これに対して、ソニーはこの動画圧縮技術そのものを幅広く活用するために CD-IからMPEG動画記録のみを抜き出してCD-ROM XA規格に追加した “Video CD”というフォーマットが生まれた。 (1993年)

一方、Intelに買収された Sarnoff研究所のDVIグループは、MPEGとして標準化が進んでしまったので、1992年に閉鎖されてしまった。

Video CD (VCD)は、その後のDVD導入までの短い期間であったが、ソニーなど各社からPlayer や映画タイトルなどが発売された。記録時間はCDと同じ72分なので、多くの映画は2枚組みとなった。また、当初、Copy Protection が無く、簡単に Disc to Discで CD-Rにコピーできた。この「長所」がアジアで広く受け入れられ、DVD導入後もアジアでは広く 海賊版のVCDタイトルとプレイヤーが販売された。現在でもカラオケのタイトルがVCDで製作されているようである。

220px-VCDlogo.svg

Video CDのフォーマットロゴ

VCDPlayer

ソニーのViideo CD Pkyaer VE-700 http://www.retrothing.com/2006/03/sony_vcd_video_.html より

 

ThaiKaraokeVCD

現在もタイで流通しているらしい VCD カラオケソフト http://www.khmer7.org/2016/01/album-town-vcd-karaoke-vol-67-dat-files.html より

 

このVideo CDと紛らわしい “CD Video “というフォーマットが先行して存在したが、これはCDの一部をレーザーディスクのフォーマットにして5分程度のアナログビデオを記録する、というミュージックビデオ用の規格である。当時、ほとんどのレーザーデイスクプレイヤーがCD再生の機能を持つ”MDP” (Multi Disc Player)であったので、可能であったフォーマットである。

cd-video-114869

レーザーディスクとのハイブリッドディスク CD VIDEOをフォーマットロゴ

 

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