「マルチメディア国際会議」 1989年、幕張

当時を振りかえってみると1990年前後というのは業界全体でのCD-ROMというメディアをきっかけにIT系のデータ・文字・ロジックの世界とAV系の映像・音声が融合する「マルチメディア」ということばが長くキーワードとして使われていた。象徴的なイベントは,1989年に幕張で開催された「マルチメディア国際会議」である。このイベントには、アップルのスカリーやMITメディアラボのネグロポンテ所長などが来てスピーチをするなど、世界的に注目のイベントだった。

2日間の講演には下記のような豪華メンバーが登壇して、マルチメディア時代の到来について熱く語った。
(雑誌「情報管理」のV 01. 32  1990年2月11日号より)

ニコラス・ネグロポンテ(MITメディアラボ所長)  「コンビュータに、より人間的要素を」

ジョン・スカリー(アップルコンビュータ会長)    「パーソナルツールとしてのマルチメディア」

土井利忠(ソニー、スーパマイクロ事業本部長)   「マルチメディア@コンセプト」

ガストン・パスティアンス(フィリップス取締役)     「90年代におけるマルチメディア標準」

ロン・パルミッチ(IBM取締役)         「マルチメディア技術とその応用」

ビル・ゲイツ(マイクロソフト会長)(ビデオメッセージ)  

                   「PCの将来はマルチメディア、マルチメディアの将来はPC 」

アラン・ケイ(アップル社特別研究員)      「視点は、IQ 80に値する」

和久井孝太郎(電通メディア開発局長)     「映像ビジネスから見たマルチメディア化の展望」

神田泰典(富士通技師長)           「マルチメディアとネットワーク」

丹羽邦彦(日本電気映像開発本部長)      「マルチメディア文化の到来と先進技術」

 

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MITメディアラボ所長(当時)ニコラス・ネグロポンテ(ウィキペディアより)(当時はもっと若々しかった。)


このようなメンバーが集まるイベントは当時としても異例であり、それが日本で開催された、ということに当時の業界における日本の立場が良く現れている。実際に、CD-ROMを中心とした当時マルチメディアシステムの標準化や技術開発はマイクロソフト、Appleは、IBMなどのは、米国企業とソニー、東芝、KDD、NTTなどの日本企業、そしてオランダのフィリップスが関わっていることが多かった。
会場となった幕張メッセは1989年10月開業であるから、この会議はIT業界としてはほぼ初めて幕張で開催されたイベントではないかと思う。参加費は安くなかったのではないかと思うが、私はなんとかチケットを入手して、初日のネグロポンテの講演を聴くことができた

makuhari

1989年のオープンした幕張メッセ(大林組サイトより)


この数年後、1992年に「マルチメディア国際会議箱根フォーラム」という非公開の会議がジョン・スカリーの主導で箱根で行なわれ、CD-ROM搭載PCについての方針が議論されたらしい。

このように大騒ぎをしていたわりには、出来上がった商品やコンテンツは辞書や、ゲーム、電子絵本などでなどの一般向け(あるいは子供むけ)なのに、ハードに数十万円もするマルチメディア対応のPCが必要だったりして、マニア、セミプロ用の世界だったと思う。ただ、この頃のアイディアがその後のハードや通信網の進歩にともなって一般化したものも多くある。たとえば、このころのマックについていたのHyperCardという白黒のグラフィックスをマウスをクリックするだけで操作する電子書籍・文房具は、のちのHTMLの原型のようでもあるし、CD-Iなどはその後のDVDやBDのメニューシステムに似たものがでてきている。( BDのJavaのなどは、CD-Iを現代的にVMで作り直したように見える。)

 

hypercard

当時のMacintoshにバンドルされていた “Hyper Card” (http://www.accitano.com/doc/Curioso/HyperCard/?lang=J&tema=BillAtkinson  より)

 

cosmicosmo

Hyper Cardで開発されたゲーム “Cosmic Osmo” これを開発した Cyan社はこの後、大ヒットした “Myst”シリーズを開発する。


実際にデジタル化した映像と音声を文字や数字と同じように扱える世界は21世紀になってからようやく一般化した。

媒体としてのCD-ROM 1985年の商品化から30年は以上たっているが、まだほとんどのPCに標準装備されている。1980年代のパソコンのインターフェース技術(プリンタポート、シリアルポート、PS2キーボード端子、3.5″ FDなど)はほぼ消滅したが、CD-ROMのはのDVD、BDの下位規格として現在も使われている。さすがに最近のCD-ROMからソフトウェアをインストールする機会は減ってはいるがまだPC用ゲームソフトや、年賀状ソフトはCDかDVDで販売されている.PS4のソフトCDの末裔であるBDで販売されている。徐々にオンライン配信やフラッシュドライブに置き換えられそうではあるが消滅するまでまだ10年ぐらいかかるのではないだろうか。

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