Apple Powerbook 100 (1)

世の中がマルチメディアだと騒いでいる1990年に ITの部門が集まるANビル内に小さなグループができた。このグループはApple向けの Powerbookの最初のモデルを設計するグループである。

Shrine Of Apple: Macintosh Powerbook 100

Apple PowerBook 100 (1991)

この頃のAppleは1985年に Steve Jobsが John Sculleyに解任された5年後で、Sculleyが経営していた次期である。Jean-Louis Gassée が製品開発の責任者であった。この頃は Macintoshのラインナップは Macintosh SE/30と Maciontosh II, Macintosh LC などのデスクトップ機のみのシンプルなものであった。

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Apple CEO John Sculley と当時の Macのラインナップ (1991) ( http://fortune.com/2016/10/13/john-sculley-apple-iphone/ より )

 

最初のPortable機である Macintosh Portableが1989年に発売されている。このモデルは オリジナルの Macintosh と同じく Frog Designによりデザインされたもので、Desktop機のデザイン要素を多くひきついでいる。重量は7.2Kgもあり、初代 Macintoshをカバンに入れて運ぶほうが便利、とかいわれていた。

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Desktop Macの面影が色濃い Macintosh Portable (1989)

 

ハードディスク、 RAMなど主要な部品は Desktop機と同じ部品が使われている。バッテリーは巨大な直方体の形状で、中に円筒形の鉛蓄電池が3本入っていた。 一方 COMPAQ, TOSHIBAなどはすでに “LAPTOP”と呼ばれる現代の Notebook PCの原型になるようなモデルを発売していて、Appleが出遅れていることは明らかであった。

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Mac Portable の内部。 Desktop機の部品が使われている。 ( http://oldcomputers.net/macportable.html より)

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Mac Portableの巨大な鉛バッテリー

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COMPAQのラップトップ機 LTE (1989)

http://www.computinghistory.org.uk/det/42317/Compaq-LTE-Elite-4-40CX/ より

Appleは1980年代からソニーから様々な技術・部品を調達している。 FDD, CDROM, HDD,電源など、今思うと何故ソニーからここまで買うのか、というようなものも買っている。なかでも TrinitronのカラーモニターはApple純正も3rd Party のもソニーブランドも全部ソニー製、というOEMとしては大きなビジネスだった、

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当時のソニーブランド Trinitron Monitor CPD-1304

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同時期のApple Maintsoh Color Display, Sony OEM  (下は Mac LC)

http://www.oldmac.jp/lc475.html より

 

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Mac II に使われていたソニー製電源モジュール

その関係で、ついにAppleは PowerBookの最初のモデル PowerBook 100をまるごとソニーに設計・製造を発注した。回路図とソフトウェアとデザインはAppleが提供し、ソニーがハードウェアの設計および製造を請け負った。ソニーは急遽、ANビルの中に部屋を区切った別働隊を作って、開発設計をした。同じビルのなかでDOS PCのQuarter/Lの開発も行なわれていたので、Apple側の要求により、組織、人員、オフィスをスーパーマイクロ事業本部から隔離することが必要だったと思われる。
ソニーが設計した PowerBook 100はグレーのボディーにトラックボール、バックライト付白黒液晶がついた”Appleらしい”製品として上位機種のPowerBook 140/170 と共に1991年に発売される。 製造は他のIT系商品と同じ長野県豊科のソニーデジタルプロダクツ(現 VAIO株式会社所在地)の工場で行なわれた。
Appleはその後、自社および他のOEMを使って PowerBookシリーズを (PowerBook DUOなど)を商品化していく。

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PowerBook Duo (Docking station に入ってしまう本体)

PowerBook100の商品化後、Appleの担当マネジメントが Dellに転職してしまい、その結果、ソニー側のPowerBook 100の設計チームは今度は DellのノートPC Lattitudeを設計製造することになる。これは1996年にソニーが自社のVAIOを商品化する頃まで継続した。
1990年代前半に、COMPAQなどの米国PCメーカーはPCの低価格化、生産台数増加に対応すべく、台湾の企業に製造委託 (OEM), 設計製造委託 (ODM)を増やしていく。最近、シャープを買収して有名になった鴻海 (FOXCONN)もこの頃に台湾でPCのOEM/ODMを始めている。そういう状況で、日本企業であるソニーにPCのODMをAppleは依頼したのである。単なるコストだけではなく、技術、本質などについての評価があったと思われる。
この約10年ぐらい後に、今度はソニーなど日本メーカーが台湾系企業に、PCなどを逆にODMで発注するようになる。

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Apple Powerbook 100 (1)」への3件のフィードバック

  1. ピンバック: General Magic / MagicLink (1) | Good Old Bits

  2. ピンバック: General Magic / MagicLink (5) 開発スタート | Good Old Bits

  3. ピンバック: VAIO (4) The First VAIO NOTE, PCG-707 | Good Old Bits

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