Apple PowerBook 100 (2)

PowerBook 100 は AppleからのMacintosh Portableの回路図をすべてそのまま利用して小型軽量な Laptopを作れ、という要求仕様に基づいてソニーにより設計された。

pb100andportable

Macintosh Portable と PowerBook 100 http://lowendmac.com/1991/powerbook-100/ より

Macintosh Portable は巨大で高価であったが、その分贅沢なハードウェア仕様であり、画面は当時まだ高価だったTFT型LCD(画素一個づつにトランジスタが形成されていて独立に液晶の光透過性を制御する現代のLCDと同じ方式)で高いコントラスト比を実現していた。(言うまでもないが白黒である。)また、メインメモリーをすべて SRAMで実現し、スタンバイ時にも動作状況をそのまま保存できた。
また、メインバッテリーは巨大な鉛電池が使われ、バックアップ電池は 9Vの006P乾電池が使用されていた。

05_pram-battery

Macintosh Portable で使われていた 9V乾電池 http://www.artmix.com/wordpress/?p=406 より

PowerBook 100ではさすがに高価なTFTとSRAMは利用できなかったので、STN型LCD(交差する電極マトリックスに電圧を加えることにより液晶の透過性を制御する方式。現代でも簡単なデジタル時計などの表示に使われている。コントラストと応答速度がTFTより遅い。)と PSRAM (仮想 SRAM, 内部は安価なDRAMだが、自己完結したリフレッシュ回路を持ち SRAMのようにスタンバイ時もデータ保持できるメモリー素子。SRAMよりはスタンバイ電力は大きいが安価。)が採用された。バッテリーは同じ特性をもつより小型で平べったいパッケージの鉛電池がメインに、バックアップは9Vの006Pはかさばるので、3Vのコイン電池を3個直列で使用して辻褄を合わせた。

coincells

PowerBook 100 で使われていた 3枚セットのコイン電池 https://www.youtube.com/watch?v=ZL8diBSCvYE より

 

 

この頃は家電やPCの充電池は鉛電池か、ニッケルカドミウム電池あるいはニッケル水素電池が主流であった。ソニー製品ではニッカドかニッケル水素が多かった。Walkmanなどの薄いガム形電池が使われていたのはニッケル水素電池である。
キーボードもMac Portableにはデスクトップ機のようなメカスイッチのキーがついていたが、PowerBook 100ではラップトップでは一般的な平面スイッチ(メンブレンマトリックス)が採用された。ただし、キースキャンのチップとソフトはそのままだったので、キースイッチの配線は変更していない。ただし、PowerBook 100にはPower Onのスイッチがなく (Mac Portableにはあった。)、任意のキーを押すと起動した。このための付加回路はソニー側で専用チップを起こして追加した。
Macintosh Portable 仕様
CPU 68000 16MHz
RAM 1M byte (最大 8M byte) SRAM
HDD 40Mbyte SCSI 3.5 inch
FDD 3.5 inch 内蔵
画面 9.8inch monochrome, 640×400, active matriix LCD (TFT)
ポインティングデバイス トラックボール (10 keyと入れ替えて内蔵)またはマウス
大きさ 10.3 cm x 38.7 cm x 37.7 cm
重量 7.2Kg
定価  $6500
PowerBook 100 仕様
CPU 68000 16MHz
RAM 2M byte (最大 8M byte) PSRAM
HDD 20M または40Mbyte SCSI 2.5 inch
FDD 3.5 inch 外付け
画面 9.0 inch monochrome, 640×400, passibe matriix LCD (STN)
ポインティングデバイス トラックボール
大きさ 4.6 cm x 27.9 cm x 21.6 cm
重量 2.3Kg
定価  $2500
PowerBook 100のハードウェアの外観の詳細を下記の動画でみることができる。回転させると足が伸びるチルト機構とか外付けフロッピーなどが撮影されている。

この PowerBook 100を設計したソニーのグループはスーパーマイクロ事業本部と同じANビルにオフィスはあったが、Appleと一応競合する PCメーカーでもあったソニーの事業本部とは、組織を別にした。当時部品関係のOEMビジネスを担当していた小寺淳一常務取締役直轄の組織で、「ソニー株式会社 開発プロジェクト室」という謎の所属名の名刺をメンバーは持っていた。また、ちょうどこの頃、社内のLANやメールシステムが稼動しはじめていたが、この「開発プロジェクト室」は独自ドメイン “dvpj.sony.co.jp”のアドレスを使っていた。他のスーパーマイクロ事業本部では “sm.sony.co.jp”というドメインだった。
このdvpjドメインは何故かその後、VAIO Notebookの開発グループが使うようになった。現在でも社内でこのアドレスを使っている社員がいるらしい。 (訂正: dvpjドメインのメールアドレスは数年前に運用停止した。 smドメインの方はまだ少数の社員が使用しているらしい。)

 

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