General Magic / MagicLink (2) 契約締結

General Magic という社名は SF作家のアーサー・C・クラークの「十分発達したテクノロジーは魔法と区別がつかない」という言葉と、アメリカの産業史で巨大企業はみんな General xxxx (Foods, Motors, Electric….)だ、ということにちなんで名づけられた。

 
Marc Poratのソニー訪問で、General Magicについて検討することになり、私は「お前ちょっと行ってきて見てこい」といわれて、丁度、そのころ 1990年のCOMDEXがラスベガスで開催だったので、それを見学して、その帰りに Mountain Viewの Castro Streetの Bank of Americaが一階にあるビルの上のほうの階にあった General Magic社の創業時のオフィスを訪問した。

castrost

創業当時の General Magicはこの Castro Streetのビルの一室にあった。 (Google street view より)

迎えてくれたのは Joanna Hoffmanで、彼女から会社概要、プロトタイプのデモなどを聞いた覚えがある。 手作りの試作機やMac上でうごくソフトのサンプル、コンセプトデザイン (Luna Designという会社がデザイン)のモックアップなどを見たと思う。

 
その後、ソニー社内で協議検討の結果、正式に契約を締結しようということになった。この頃、 Marc Porat社長はソニーと同時に AT&TおよびMotorolaにも提案をしていて、契約は General Magic, Apple, Sony, AT&T, Motorolaの5社間の契約になった。

 

1990年の年末ぐらいから契約交渉が始まったが、丁度そのときに湾岸戦争への米軍の参戦が開始され、そのあおりで海外出張全面禁止になってしまった。その結果、契約交渉は全部電話とメールですることになり、時差、聞き取りにくい英語の電話、長大な英文契約書、という三重苦の仕事であった。

 
ソニー側も東京の法務部、本社経営企画室、ソニーのUS側の法務部とUS側本社の担当者、など関係者が複雑であった。 General Magicの契約書というのは、同社にソニー、AT&T, Motorolaなどが新たに株主および取締役会メンバーとして参加する、という件と、同社が今後開発する予定の “Personal Intelligent Communicator”のソフトハード一式のライセンス契約からなる複雑なものであった。

 
技術ライセンスの契約についてはエンジニアだと扱う機会はよくあるが、会社への投資契約というのは、通常見ることはないので、本社の専門家にいろいろ教えてもらった。苦労の末なんとか契約書が締結されて「正本」が送られてきたら、分厚い本2冊ぐらい分の厚さがあって、いくらなんでもこんなに分厚いはずはない、と思って中をみると、全体の3/4ぐらいは、General Magic社がAppleから独立する際に知的財産として提供された技術情報を列挙するページであった。後にも先にもあんなに複雑な契約書は見たことがなかったので、その後、どんな契約書を見ても驚かなくなった。

 
この頃のAT&Tは まさに The American Telephone and Telegram であった頃の面影を強く残す巨大企業であった。 1984年に全米の電話網をほぼ独占的に提供する企業から、長距離網のみを提供する AT&Tと8つの地域別電話会社 (xxx Bell という名称だったので Baby Bellsと呼ばれた。)に分割されてはいたが、依然として Bell研究所、コンピュータメーカーの NCR,電話機などのハードウェアを製造開発する 旧 Western Electric などを子会社にもつ巨大企業であった。AT&Tのこの頃のCEOはやり手の Robert Allenである。

 
一方、Motorolaも、携帯電話、業務用無線システム、半導体などを手がける巨大企業であった。半導体や携帯電話システムに関して、日本に市場開放を「外圧」としてかけてくる筆頭企業でもあった。1990年ごろは丁度、日本のアナログ携帯電話システムに NTT方式と並列で北米方式(モトローラ方式)が採用させられていた時期である。 “MOSS協議” , ”スーパー301”とかの言葉がよくニュースに出てきた。 Motorolaの当時の CEOは創業者 Paul Galvinの孫の Christopher Galvin である。

 
契約の条件として、Apple, Sony, AT&T, Motorolaは “Founding Partner”として General Magic社の株主となり、さらに各社のCEO自身が General Magic社の取締役会メンバーとなった。つまり、Mountain Viewの社員数十人のスタートアップの取締役会に John Sculley, 大賀典夫, Robert Allen, Christopher Galvinが出席することになった。日米構造協議でもはじめかねないメンバーである。議長は当然、社長の Marc Poratである。 Marcは”What a board meeting! Incredible chemistry!” と自慢していた。

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