General Magic / MagicLink (7) 49ers, Tony, 増えるパートナー

ソニーは初代のTeletouch試作機 (コードネーム “Bamboo”)での商品化を1992年に断念した。電池寿命の問題もあったが、General MagicのソフトウェアやAT&Tによるネットワークの開発もまだ完成には程遠い状況でもあった。

 
次の試作機はちゃんと育つように”Ceder” (杉)というより頑丈な素材のコードネームにした。これが1994年に発売された MacgiLink PIC-1000の原型となる。前の試作とのハードウェア上の大きな違いが二つあって、一つは当時最先端であったリチウムイオン電池の採用である。 MagicLink専用に電池を開発することなどできないので、カムコーダーの電池を流用した。

 
もうひとつはCPUをMotorolaの汎用1 chip 68320 から、General Magicの仕様で開発された 68349という 68000 coreの SOCに変更したことである。この頃は周辺回路まで取り込んだSOCをモバイル機器で使う、というのがまだ少なかったと思う。ちなみに型番の下2桁が49という半端な番号なのは地元のフットボールチーム “49er’s”にちなんだものである。 68349は”Dragon 1”という名称でもよばれている。この次の世代の68328 “DragonBall” は Palm PilotのCPUとして使われるなどして広くつかわれ、 Motorolaの半導体部門が2004年に Freescale Semiconductor として分離してからも製造販売された。なお Freescaleは2015年にNXP Semiconductor (元のPhilipsの半導体部門)に買収された。

 

49ers

CPU 68349は SF 49ersにちなんで命名された。

 

mc68349

MC68349 (Motorola)のブロック図

Teletouch本体とキーボードや電話型ドッキングステーション、プリンターなどと接続する汎用シリアルインターフェースとして “MagicBus”というものが開発された。これは少ないピン数で電源供給、データおよび接続機器識別の信号を接続し、しかも複数の機器を数珠繋ぎにできる、という後のUSBに良く似たものであった。このMagicBusのコネクタとして本多通信工業のものを採用した。 General Magicの人たちは本多通信を車のHONDAの関連会社だと思いこんでいたようである。

 
Teletouch端末間で、赤外線を使って Telecardや電子名刺を交換できる赤外線通信機能も開発された。これはソニーが技術を提供した。PalmTopに、端末同士をくっつけて赤外線でデータ交換する “Data Kiss”という機能があったが、これを改良して、赤外線リモコンの部品を活用して、FM変調したデータを飛ばし、1m 程度離れていてもデータ交換できるようにした。これも後のIrDAに非常に近いものであった。

 
このMagicBusや赤外線通信などの周辺インターフェースの設計をGeneral Magicで担当していたのが Tony Fadell という短パンをいつもはいていた兄ちゃんだった。その関係で、ソニー側のエンジニアとTonyは親しかった。

tony

General Magic当時のTony Fadell  近所の選挙ポスターで悪戯をする単なる悪ガキにしか見えない。

Tony Fadellはこの後、AppleのiPodの責任者となり、さらにNESTを創業し、会社をGoogleに売却し、最近(2016年) Googleを辞めている。 (後述するが、General Magic元社員で現在 Googleに居る人は他にもいる。)

tony_fadell

NEST CEOの Tony Fadell (Wikipedia より)

また、Telecardに音声メッセージつきの「吹き出し」スタンプを張っておくる、という機能があり、この音声をデジタルで録音した後に圧縮する方式に、当時ソニーが推進していた CD-ROM/XAのADPCMを採用した。そのため、ソニーの研究所に、圧縮、再生のソースコードをもらいにいったら、社外用にわざと性能を落としたものを用意してくれて、それをGeneal Magicに提供した。小さなマイクで録音する音声なのでそれで十分であった。

 
一方、社長のMarc Poratはさらに世界中をプレゼンとモックを抱えて飛び回り、さらに多くの “Founding Partner”を1994年には獲得した。新たに契約したのは

Cable & Wireless
France Telecom
NTT
Northern Telecom
東芝
沖電気
サンヨー
三菱電機
富士通

という世界の通信事業者と日本の電気メーカー各社であった。
すでに契約していた Apple, Sony, Motorola, Panasonic, Philips, AT&T を加えて15社ものライセンシー兼株主がいたことになる。 General Magic社の資金はほぼすべてこれら各社の出資金でまかなわれていて、VCの資金などは入ってなかった。

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