VAIO (2) VAIOロゴ誕生

“GI Project” が開始した時点では当然 “VAIO”というロゴ、ブランドは決定していなかった。

製品の設計検討が始まる以前にデザイナーの後藤 禎祐さんがアサインされた。後藤さんは PlayStaion シリーズのデザインを手がけたデザイナーで,優秀なデザイナーが多いソニーのデザインセンターの中でもスターデザイナーであった。出井社長は社長就任の直前まで広告・デザイン担当の役員であったので、その関係で社長がデザイナーを直接指名したのではないかと思う。

(このブログでは原則として役員以外のソニー社員の名前は出さないことにしているが、後藤さんは業界著名人でもあり、VAIOとの関係も周知であるので、例外として名前を記する。後藤さんは2009年にソニーを辞めて独立された。)

20世紀のソニーにおいてデザイナーの権威というのは非常に高く、大賀社長時代から、全製品は社長直轄のデザイン審議会で承認されないと商品化できないことになっていた。大賀社長がモックアップを投げ捨てた、などのエピソードは多数ある。デザイナーの仕事というのは予定通りに完成できないことも多く、設計とデザイナーの間に入った商品企画担当者が苦しむ、ということはよくあった。

後藤デザイナーがまず作り上げたのは “VAIO”というブランドとロゴである。

 

IVaio_logo

VAIOロゴ。 当初はこの紫色が正式な色だった。

このロゴは前半の “VA” の部分がアナログの波形(サインカーブ)を表現していて “IO”の部分が”イチゼロ”を表現していて「アナログとデジタルの融合」を特定の言語に関係なく表現する、というものである。

まさにAVがアナログからデジタルに移行していく時期にそのハブとして家庭用PCを出す、というコンセプトを表現したロゴでありブランドである。このロゴは1996年に初めて使用されてから一度も変更されていない。そればかりか、ソニーという会社から独立した企業になっても社名・商品名として、そのまま現在も使われている。栄枯盛衰激しいPC業界で、20年間変わらず使い続けられている、というのはこのロゴの力が尋常ではなかった証拠であろう。

後藤さんは同時に”VAIO”のサウンドロゴも作成した。現在でも(多分) VAIOの電源をいれるとVAIOロゴと同時に”ピポパポ”という短い4音が聞こえるが、これがサウンドロゴである。これは、米国のプッシュホンで”VAIO”と押すと出る4音を元にしているといわれている。

創業時代のVAIOのサウンドロゴと画面 Wallpaper

また、 Violet とかけてあったのか、紫色がシンボルカラーとされ、創業後数年間は、ほとんどの製品に濃淡様々な紫色が使われていた。紫というのは、家電でもPCでも、普通使わない色なので、この「紫のパソコン」ということ自体もブランドの一部であった。

このようにして”VAIO”ブランドとロゴは作られたのだが、当初、米国の販売サイドにはあまり評判が良くなかった。「読めない。ヴェイオー?」「ブイエイ テン という型番か?」「Violence みたいだ」とか、色々言われた。私自身もなんだかよくわからん、と最初は思った。

というようなことがあり、当時、米国ソニー (SEL)の社長だった Carl Yankowski は “VAIO”をブランド名として認めない、と譲らないまま、発売を迎えてしまった。その結果、製品には “VAIO”と大きく書いてあるのに、広告には “pc by sony” というインパクトゼロのブランド名みたいなものが書かれる、という妙なことになった。また、後付けで “Video Audio Integrated Operation” という言葉の頭文字だ、という意味付けがひねり出された。

pcbysony1

“pc by sony” と書いてある初代 VAIO PCV-70/90の米国ソニーの広告. VAIOという文字は製品写真以外にない。(よくみると、女性の服に透かしのようにVAIOと書いてある。)

 

ソニーには会社ブランドの “SONY”と、カテゴリごとのサブブランド (“Walkman”, “Camcorder”, “Cybershot”, “Trinitron” など) の管理にはいろいろと決め事があったが、”VAIO”は上記の事情によりサブブランドでもない「謎の記号」というあつかいになってしまい、それが逆に、通常受ける制約を受けないという効果があったかもしれない。

たとえば、通常、サブブランドのロゴは “SONY”より目だってはいけない、というルールがあったと思うが、VAIO用のモニターは画面の下に”SONY”と書いてあるが、その下のスピーカーにもっと大きな字で “VAIO”と書いてあった。
一説では、この頃からいずれソニーから飛び出してやろう、と考えていた、ということだが、約20年後にそれは実現しているのである。

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